2025-11-01
11/21(金)朝8:30~10:00@ZOOM
M&Aにおける文化分析と統合プロセス設計:Weber & Tarba (2010) を手がかりに
M&Aの現場では、契約の成立よりも「人と文化の統合」が難しいといわれます。
Haspeslagh & Jemison (1991) が統合アプローチを整理して以降、多くの研究がこの”文化摩擦”をどう乗り越えるかに注目してきました。
そのなかでも Weber & Tarba (2014) は、文化と人的資源(HRM)の観点から、M&A成功の鍵を体系的に示した研究です。
彼らは、クロスボーダーM&Aにおける統合の失敗要因の多くが、「文化的距離」と「人的統合の欠如」にあると指摘し、次のような要点を挙げています。
・文化差は国民文化だけでなく、組織文化・リーダーシップスタイル・報酬制度など多層的に作用する。
・PMI初期から文化分析と人材リテンションを設計し、統合チームを組成することが成果に直結する。
・HR施策(研修・インセンティブ・対話機会)が文化摩擦の”緩衝材”として機能する。
本セッションでは、この研究内容を簡単に解説したうえで、実務の観点から「文化と人の統合」を議論します。
文化の違いをどう可視化し、どのような人事・コミュニケーション設計で統合を成功させるか――理論と現場の両面から考えたいと思います。
議論したい論点
・PMIにおける文化摩擦は、どのように顕在化してきたか?
・統合の成功・失敗において、HR(人材施策・リーダー育成・報酬設計)はどう影響したか?
・「文化距離」が大きい案件で、摩擦を緩和する実務上の打ち手は何か?
・文化・人事の統合を”戦略テーマ”として扱うには、どんな仕組みが必要か?
(当日の議論の流れによっては、内容が一部変更となる場合があります)
※PMALは、特にM&Aに関して、「迷いがちな問い」を共有し、参加者同士で議論を重ねることで、思考を深めることを目的とした、奇数月開催の対話型研究会です。
(PMALはもともと“Post M&A Laboratory”の略称ですが、現在はポストM&Aに限らず、M&A全般・意思決定・戦略構造を含むテーマへと対象を広げています。)
ぜひ奮ってご参加ください。